「輝ける夕暮れを共に」
1988年 創設時のことば
恩寵の中に加世田アルテンハイムは完成いたしました。感謝あふれる思いでございます。開園して一年、全国より多くの方にご来園いただきお礼申し上げます。その度に「どうしてこの仕事をしたのか」とおたずねになりますので、最後の頁をかりまして一言ごあいさつ申し上げます。
私は両親の希望で高等学校から羽仁もと子先生の教育を受けました。日本の南端東シナ海に面する小さな町から先生の教育を慕って上京した私は、まず「思想しつつ」「生活しつつ」「祈りつつ」の生活を教えていただきました。
そして「地の塩になるように」「力は出るもの出せうるもの」との教えが私の心の中に大きな可能性を秘めて残りました。私も将来本当の人間にしていただくために鍛えられつつ世の中のお役に立てるようになりたいと思いました。
志して十余年いつくしみ深き御手に導かれここまで参りましたがアルテンハイムでの日常はある日限界を感じることがあるかもしれません。しかし興えられるものの全てを私の試練と受止め精一杯つとめさせていただきたいと思います。
老いは「神の祝福」です。“みどりご”のような美しい心と姿になられたお年寄りと接するたびに人間本来の姿「天命を信じて全ての愛に支えられ心安らかに生きる」というこよなく美しいものをみる思いがいたします。
人生の長い歩みを続けられ今ここに永遠の憩いを求めておられるのですからアルテンハイムに光があるように「輝ける夕暮れ」を共につくり共に住みたい。これが私の願いであり深い祈りでございます。
加世田アルテンハイム
園長 吉井 敦子